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drop

ノックの重要性なんて、今まで考えたこともなかった。
大所帯の騎空挺で暮らしていながらも。
そして現在進行形で後悔している。
「サンダルフォン、ちょっといい?」
いつも通り、ノックをしてドアを開けた。
常ならばすぐ、入れと言われるから。
だから無意識に、返事なんて待たずに。
「この間の話なん……」
この部屋に、他の誰かがいるところなんて見たことがなかった。
だから、誰かがいて、しかもそれがベッドの上で。
二人の体が密着していて。
それがどういう状況か一瞬理解できなかった。
「んんっ……」
苦しげな声にようやく思考が動き出す。
組み敷かれた裸体しか目に入っていなかった。
「ごめん」
口早に言って部屋を出ようとしたら。
「いいタイミングだ、特異点」
黒い誰か、が声を上げた。
知っている、けれどここにはいないはずの。
「ベリアル……?」
振り返り、手から力が抜けドアが閉まった。
その音が妙に大きく聞こえた。


ちょっと遊びに来たんだ、と堕天司が笑う。
その間もぐちぐちと生々しい音が響く。
こっちへ来たらどうだ、と誘う声に促されてふらふらとベッドに歩み寄った。
ベリアルが体をずらせば、仰向けになった白い体が目に入る。
何も身に付けていない、無防備な。
「ぁ、あぁ……」
ぐちゅりと結合部が音を立てる。
濡れた下半身から慌てて目をそらした。
年上の団員も多く、それなりの猥談は聞いたことがある。
年頃だから興味あるんじゃないか、だとか。
そもそもの経験がなく、他人の情交に遭遇したこともない。
目の前の光景に、カッと体が熱くなる。
「特異点……」
呼ぶ声がか細い。
とろりととけた表情で、サンダルフォンが手を伸ばしてくる。
反射的に掴めば、普段よりも体温が高い。
天司や、人型の星晶獣は総じて見目が良い、と思う。
目の前にいる二人も。
けれど、そこに何かを感じたことはなかった。
存在が違いすぎて、美術品を鑑賞しているような気持ちになる。
はっきりと姦淫を持ちかけるベリアルにすら。
それなのに。
触れた指が、すりすりと肌を撫でる。
たったそれだけのことなのに。
「君も、したいのか?」
信じがたい気持ちで見返せば、口元にうっすらと笑みを浮かべた。
「すごいじゃないか、天司長様のご指名だ」
その言葉に煩わしそうに睨みつける。
自分に向けられない、激しい感情を見た気がした。
「ハイハイ、もーわがままだな」
言いながら、サンダルフォンの体からゆっくりと引き抜かれる。
吐息が漏れ、感じているのだとわかる。
その様をまじまじと見てしまった。
貫いていた凶悪なそれも。
「おいで、グラン」
誘う声が甘い。
掴んだ手に引き寄せられ、ベッドへと乗り上がる。
ギシリ、と鈍い音がしてぞっとした。
これから、何が起こるのか。
このベッドは、三人の重みに耐えられるだろうか。


夢見ていたとか、そんなことはないのだ。
ただ、相手は好きな人が良いとか、漠然とした憧れのようなもので。
この状況でないことは確かだった。
反応しかけていた性器を露出させ、可愛がるように撫でられた。
そして、温かな口内に招き入れられる。
「っう、ぅ、待って、サンダルフォン」
頭が上下する度にいやらしい音が響く。
他人から初めて与えられる快楽が理性を奪っていこうとする。
すぐにでも達してしまいそうになってぎゅっとシーツを掴んだ。
「さっきより締まるな、咥えて興奮しているのかい?」
サンダルフォンの後ろから声がかかる。
がっちりと腰を掴んだ指が皮膚に食い込んでいた。
「ん、っぐ」
揺さぶられ、深く咥え込まれる。
根本を擦っていた指に力がこもった。
先端が喉の奥に擦れて、もう我慢できなかった。
「ご、ごめんねサンダルフォン」
前髪を払うように撫でて、腰を押しつける。
「く、ぁぁ……」
口内で放ちながら、充足感に満たされる。
義務のような自慰とは全く違う。
「特異点、ソドミーはイイ物だろう?一人では得られない」
サンダルフォンを犯しながら、その表情はいつものように不敵に笑う。
それは、誰が相手であってもいいのか。
射精後の頭は上手く回らなかった。
ぼんやりしていると、再び扱かれた。
嚥下する音が聞こえ、赤い舌が性器を這う。
「ちょ、待って、ダメだって……」
舐め取ろうしてるだけなのか、再び勃起させる為なのかわからなかった。
びくびくと腰が震えてしまう。
「オレにもそれくらい情熱的になってくれてもいいんじゃないか?」
「うるさい」
言い返しながら振り返ったサンダルフォンの腕を、ぐいと引く。
呼吸が整わないまま、離れていく体を目で追った。
「ん、っう……」
唇を合わせて、ぐちゃぐちゃと舌が絡まる音がする。
その音の正体は、自分が出した精液ではないのか。
「若い味がする」
そう言って唇を舐める姿に、目眩がした、本当に。
留まらずにすぐに逃げるべきだったのだ。
こんなことは間違っている。
そう思うのに。
半端に体を捻った体勢で、繋がっている。
再び唇を合わせながら、サンダルフォンの性器も勃起していた。
少し前までは自分に触れていた手が、ベリアルの首に掛かる。
まるで恋人同士だ、と思った。
言えば否定するだろうけれど。
「ほら、特異点が寂しがってる」
そんな声が聞こえ、サンダルフォンの体勢が変わる。
高い嬌声を漏らして、背中からこちらへ倒れてきた。
それを受け止めれば、恨めしそうにベリアルを睨みつける。
「胸でも弄ってやればいい。ペニスでもいいけどね」
言いながら、抜き差しを再開する。
「んんっ」
視線が交わって、顔が近付く。
キスするのだろうか。
先ほど、ベリアルと触れ合わせた唇で。
この状況でそんなことに嫌悪するのもおかしな話かもしれない。
ぎゅっと目を閉じるが。
触れたのは頬だった。
ちゅ、ちゅ、と可愛らしい音を立てながら。
顎から首筋に降りていく。
「グラン」
囁く声が熱っぽい。
ぺろりと舐められる。
時折甘咬みしながら。
見えるつむじに、そっと口付けた。
「触って」
手を捕まれて、胸元へ導かれる。
赤く色づいたそれに指を這わせると、甘い声が聞こえる。
すり、と額を寄せてくるのが可愛いと思った。
「そんな可愛い愛撫じゃオーガズムに至れないぜ?」
からかうような声音に手が止まってしまう。
「アレの言うことは気にしなくていい」
「酷いな、指導してあげようっていう優しさだろ?」
わざとらしい言い方に、サンダルフォンの体が動いた。
がっ、とベリアルの肩を踵で蹴る。
「早く終わらせてさっさと抜け」
「良かったな特異点、キミのペニスが早く欲しいらしい」
蹴った脚が捕まれた。
すぐ傍で息を飲む気配がして、ベリアルの体が近付く。
「あ、ぁぁぁっ」
「キミががんばれば早く終わらせてあげよう」
根本まで深く埋め込んで、腰を回す。
激しいその動きは、これまでの緩やかなものとは違う。
傍目に見てもわかってしまう。
「ゃ、あぅ、っ……!」
悲鳴じみた声をあげながら手を捕まれた。
力が入り、爪が肌に食い込む。
「押さえてろ特異点」
低い声にハッとする。
仄暗い赤い瞳がこちらを見ていた。
逃げようともがく体を、抱きしめた。
「ぁ、はっ……」
今度は腕に爪を立てられる。
抉って、引いて、再び奥へ。
サンダルフォンの体が押しつけられる。
「ひ、あぁぁぁっっ……」
腕に抱いたサンダルフォンが痙攣するように震える。
吐き出された白濁が胸まで飛んだ。
ベリアルの動きは緩慢になり、軽く揺れていた。
口角が楽しげに引き上がる。
「はは、やっぱりギャラリーがいると違うな、いい具合だ」
太股を撫でながら、腰を引く。
中に出された物があふれるのが見えた。
「さぁ、特異点、キミの番だ」
わざとらしく手を広げる。
くたりともたれ掛かるサンダルフォンはどこかうつろな瞳をしていた。
「体位はどうする?童貞らしく正常位か?乗るのも得意だが、獣らしく交わるならサンディの口を貸してくれるかな?」
キミでもいいけど、と問う声にぶんぶんと首を振った。
「じゃあバックか」
「違う」
ぎゅっとサンダルフォンを抱きしめる。
ずいぶんと疲弊しているようだった。
これ以上無理をさせない方がいいんじゃないか。
「もう、いいから」
やめよう、と言葉になる前に。
「グラン」
呼ぶ声ははっきりとした意志を持っていた。
見上げる瞳が緩く微笑む。
「君が欲しい」


見上げた天井はどの部屋だって変わらない。
それなのに、全く違う事が起こっている。
「よくしてやる」
笑う顔が、かっこいいな。
まさか自分が押し倒されるなんて、考えたこともなかった。
「サンダルフォン……」
二人の行為を見て痛いくらいに勃起していた。
それを飲み込まれる。
ずぶずぶと、先ほどまでベリアルが犯していた場所へ。
「は、ぁ……ほら、グラン」
入った、と。
熱い肉襞に包まれる。
絡みついて、微かに動いただけで意識を持っていかれそうになる。
「サービス良すぎだろ、サンディ」
「っ、おい、乗るな」
サンダルフォンの背中にのしかかる。
ぐりぐりと奥へ押しつけるように腰を動かされた。
「ひっ、あ、やめろ!」
「うぅ」
「達しそうか、特異点」
笑いながら、サンダルフォンの体に触れていく。
胸の突起を押しつぶし爪を立てる。
連動しているようにきつく締め付けられた。
「もうちょっと我慢してくれよ特異点、サンディと一緒にイク方が気持ちいいぞ」
「やめ、擦り付けるな」
「オレのもぶち込まれたいのかい、サンディ」
顎を掴んで視線を合わせる。
キスをするのか、そう思ったらたまらなくなって。
腹筋に力を入れて、起きあがった。
驚いた顔をしたのはベリアルで、ぱっと手を離す。
勢いのまま、後ろに押し倒していた。
「は、はぁ……」
先ほど見たベリアルの動きを真似る。
上手くできているかはわからないけれど、深く腰を押しつけた。
「ぁ、あ、グラン」
それでも、とろりと濡れた瞳に気分が上昇する。
首に腕が絡んで引き寄せられた。
顔を寄せたのに、触れたのは頬で。
もどかしさから口付ければ、噛みつくようになってしまった。
先ほどの嫌悪感はもうない。
「ん、んんっ……」
「サンダルフォン」
背中に腕が回って、腰が揺れる。
きゅうきゅうと締め付けられるのが気持ちいい。
「もっと浅いところも擦ってやれ」
背後から腰を捕まれて動かされた。
感じる場所に当たったのか高い声が漏れる。
「ほら、もっときつく」
同じ動きを辿れば、抗議するように背中をひっかかれた。
嫌がるように首を振る。
「グランッ……」
ぎゅっと締まった肉筒に、搾り取られる。
堪える事もできずに達していた。
「っ、あぁっ……」
サンダルフォンは射精しなかった。
それでも体がびくびくと震えている。
「ぁ、う、んんっ」
「すごいな、童貞でドライか。そんなに良かったかいサンディ」
するりと白い指が腹を撫で、萎えた性器をきゅっと締め付けられる。
「次はどっちがいい?」
堕天司の声が響く。


想像していなかった初体験は意識を飛ばすほどだった。
そして、目が覚めると。
ベッドが揺れていた。
漏れ聞こえる水音は、声は。
恐ろしくて目が開けられない。
そして、思う。
この状況でサンダルフォンは返事ができただろうか。
ちょっと待て、だとか今は入るな、とか。
それがなければ心配になって、結局はドアを開けていただろう。
そう考えると。
結果は変わらなかったかもしれない。

全て、きっと。

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