18歳未満の方の閲覧はご遠慮願います。
血塗れなので苦手な方はご注意ください。


錆びた鉄のような、不快な臭いに眉を寄せる。
それなのに、逃げ出すことができない。

クラックポット

騎空艇の廊下を移動していると、物音が聞こえ足を止めた。
音の出所は倉庫にしている部屋だ。
深夜ではないが、各々部屋に戻っている時間で。
何かあったのだろうかと、お人好しといわれる性格のせいで扉に手をかけた。
ギィと重い音を立てる。
明かりは付いておらず暗い。
人でなければ、動物でも迷い込んでいたのかもしれない。
「誰かいるの?」
声をかけ、明かりを点けようとしてはっとする。
漂っているのは血の臭いだ。
気配を探りながらスイッチに触れれば、明るいとは言い難いが床を照らした。
カタリと、棚の向こうから音がする。
そちらに視線を向け、荒い息づかいにようやく気付く。
確かめなければと中へ進めば、背後で扉が閉まった。
じわじわと嫌な汗が浮く。
覗き込んだ部屋の奥、血の臭いを強く感じる。
「……何で」
その姿を認め、言葉が続かない。
「イイところに来た、特異点」
呆然と見つめれば、世間話をするような軽い声が響く。
膝立ちのサンダルフォンを後ろから抱きしめ、そうっと頬を撫でた。
手も頬も血が付着している。
こめかみに唇を押しつけ、リップ音が響く。
まるで愛おしそうに。
場違いなのは己かと一瞬錯覚してしまう。
いや、この男は敵だ。
艇を落とすことをきっと躊躇いもしない。
仲間を呼ぶべきか、悩むのに脚が動かない。
サンダルフォンの首から胸が血で濡れていて、逃げられないような傷があるのだと察する。
捕らえられたとしても、抵抗しないような性格ではないだろう。
「反応が鈍くなってきたんだ」
サンダルフォンの鎧は外され、インナーは所々破れていた。
露わになった下半身へ視線が向いてしまう。
背後から貫く性器の太さに息をのむ。
「……っ」
「他人の姦淫を見るのは初めてかい?」
するすると体を撫で、結合部を指でくすぐった。
肩が跳ねるのが見ていてわかる。
「付き合ってくれよ、特異点」
萎えた性器に指を絡めるが、声は聞こえずに呻くだけだ。
微かに空気が抜ける音がする。
「あぁ、うるさいから喉を潰しておいたんだ」
喉を撫でた指が埋まっていく。
「さすがだなサンディ、もう再生し始めているじゃないか」
感心したような声を出しながら指を抜き差しする。
ぎゅっと噛み締めた唇から、呻きと血が溢れた。
「なぁ、特異点」
視線が絡む。
直後、びりびりと全身が痺れるような気がした。
息が上がり、体が熱くなる。
「下はオレが塞いでいるから、キミはコッチを使うといい」
指を動かし、とぷりと新たな赤が零れた。
誘われるみたいに、よろよろと二人へ近付く。
意識はどこか遠く、他人事のように思える。
「サンダルフォン」
頬に触れれば、指に血が付く。
出会った頃から強気であった。
大切な存在を失ってからはどこか淡々としていたが、意志を継いでからはまた皮肉なことも口にするようになった。
尊大な態度もとる。
それが、今。
うつろな瞳でぼんやりと見上げる。
まるで力ない存在のように。
「フフ、若いね、悪くない」
布越しに撫でられ、性器が反応していることを思い知らされる。
何に反応したかなどもうわからない。
下着ごとズボンを下ろす。
膝の辺りに布が絡まるのは間抜けだと思ったがそんなことに気が回らない。
痛いほど張りつめた性器がぶるりと震えた。
「ほら、ここに入れるんだ、簡単だろう」
二本の指が喉を開く。
仄暗い穴がそこにあった。
「っ、は……ぁあ」
勃ち上がった性器をこすりつける。
そこは温かく、ぬるりと滑った。
根本を掴んで押し込めば、ズブズブと肉をかき分け埋まっていく。
「っ、ぁ……」
唇から新たな血が溢れた。
すぐに先端が壁にぶつかる。
なめらかな感触に、幾度も腰を打ち付けた。
再生を始めた皮膚がまとわりつき、蠢く肉をこじ開ける。
「は、ぁ、すごい」
血と肉が生々しい音を立てた。
この傷を広げているのは自分自身だと。
両頬を手のひらで包み、根本まで全て埋めた。
「あぁ、イイよサンディ、特異点にハメられるのは気持ちいいかい?」
よく締まる、そう言って笑う。
「キミだってイイだろう?」
「は、ぅう……っ」
喉が締まり、堪えきれずに射精する。
全てをそそぎ込んでしまいたかった。
「ぁ、っ……サンダルフォン」
瞳は、見返してもくれないのに。
唇が薄く開き、舌の上に乗る白を見せてくる。
血と混じり、口の端から流れ落ちた。


達したせいか、思考がはっきりし始める。
萎えたそれを引き抜き、気休めにもならないが汚れた口元を拭った。
すると、サンダルフォンの体が傾いたので慌てて抱き留める。
ぐったりと力が入らないらしい。
「手と脚も動かないようにしたからな」
腰だけを引き寄せて男が言う。
何でもないことのように。
「そんな」
「これぐらいじゃ死なないさ、天司長様は」
視線を落とせば、手首に深い傷が入っている。
触れれば、びくりと肩が揺れた。
「優しけりゃイイってもんじゃないだろう」
「え」
顔を見れば、ニヤリと笑う。
「キミに赦されてしまったら、その罪はどうなるのかな?」
「ぅ、ぐ……」
抱きしめた体が震える。
引いた腰を激しく打ち付けていた。
肉のぶつかる音が響く。
「体を差し出すなんて、健気じゃないか」
容赦なく太いそれが出入りする。
上半身を抱きしめたまま、目が離せない。
言葉にならないその音に、胸の辺りが締め付けられる。
「オレに罰を与えられて、嬉しいかい?」
囁く声は人を惑わす。
「あぁ、悪い悪い、特異点には知られたくなかったか」
考えもしなかった言葉がすぐには飲み込めない。
震える体を抱きしめることしかできなかった。
「ハハッ、あーイイよサンディ、最高だ」
奥へ擦り付けるようにして、腰が動く。
深く息を吐く姿に、達したのかと推測した。
「も、う、終わったのなら」
そうだ逃げなければと、今更ながら口にする。
仲間を呼ぶべきだろうが、この状況を見られてはいけない。
一人で逃げ出すのは躊躇われた。
かといって、簡単に退いてはくれないともわかっている。
「うん?あぁ」
ずるずると性器が抜けていき、その全容に呆然とした。
あんな物が収まっていたのかと血の気が引いた。
彼らを人と比較するのが間違いかもしれないが。
サンダルフォンの体は簡単にひっくり返され、力のない下肢が目の前に向けられた。
閉じきらない穴から、白い物が溢れている。
「ほら、特異点」
顔を上げれば再び目が合う。
駄目だと思う前に、カッと体が熱くなる。
その衝動が止められない。
溢れた唾液を飲み込んだ。
「っ、ぁ」
力の入らない脚を抱えて、勃ち上がった性器を擦り付ける。
柔らかく口を開いたそこは、抵抗なく飲み込んだ。
「ちゃんと締めてやれよサンディ、かわいそうだろう?」
オレのはこの辺りまで入ったな、と腹の上を撫でた。
きゅう、と収縮して性器が包まれた気分になる。
「コッチもよかったみたいだからオレも試させてもらおうか」
再生を始めた喉に、太いそれを押し込む。
口から血が溢れる。
褒めるみたいに髪を撫でて固定した。
「コレも悪くないよ」
あぁ、と思う。
喉に突き込む度に、内壁が痙攣したように震えている。
誤魔化すこともできないほど、気持ちがいい。


悪夢のようだった。
「そろそろ帰らないとな」
窓から陽が射し込む頃、男はそう言って姿を消した。
何故という疑問は最後まで残されたままだ。
部屋の惨状にため息を吐く。
変色した床や服のシミは落ちるだろうか。
一睡もしていないが頭は妙に冴えている。
破壊と再生を繰り返したサンダルフォンは、まだうつろな目をしていた。
それでも、時間が経てば皮膚が張り、傷を隠してしまう。
まるで何もなかったように。
そうだ、誰かに見つかる前に片づけなければ。
血と精の混じる、生々しい臭いは麻痺したようにもう何も感じない。
体を起こし、先にサンダルフォンを移動させようと近付く。
疲労した足下は少しふらついた。
頬に付着した血は乾いている。
触れようと伸ばした自分の手も汚れていて。
ぼんやりと見つめる先、赤い瞳に光が差した。


そわそわと落ち着かない。
窓の外は暗く、静かな夜だった。
そっと部屋を抜け出し、廊下を進む。
手をかけた扉は、あの日よりも軽い音を立てた。
明かりの中、椅子に腰掛ける姿が目に入る。
「団長?どうかしたか?」
問う声は淡々と響く。
「サンダルフォン」
内に滲む情欲に、声が掠れた。
魅了の効果など、とっくに消えている。
じっと見つめれば、軽く微笑む。
衣服を脱ぎながら、ベッドへと移動して。
「おいで」
招くように腕を広げた。
同じようにベッドへと乗り上がれば、布越しに性器を撫でられた。
形を確かめるように擦られ、固くなっていく。
「っぅ」
布をずらされ、ほっそりした指が直接触れる。
裏筋をくすぐられ、溢れた先走りを指が掬った。
「ぁ、あ、サンダルフォン」
手のひらで筒のように包まれ、上下に扱かれる。
ぬちゃぬちゃと淫らな音が耳に入った。
「気持ちいいか?」
「うん」
力が抜けそうになって、肩を掴む。
「気持ちいい」
漏れた声の甘さに目眩がする。
もうきっと、戻れない。
「ごめん、ごめんねサンダルフォン」
腰を揺らしながら謝罪するなんて、バカみたいだと思うのに止められない。
「君が謝ることは何もない」
「っぅう……」
ふ、と手の動きが止まる。
見下ろす瞳は、いつもと変わらぬ強さに満ちていた。
「あぁ、そうか」
緩く唇が笑みを浮かべる。
見つめる先、指が喉に触れた。
「こちらの方が好みかな」
爪が傷を作り、肉に指が埋まる。
溢れた赤が首を汚し、色濃い香りが部屋を満たす。
塞いだ唇は、血の味がした。

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