災厄ちゃんがヴァーチャーズコアを撫で撫でして破壊する話。


児戯

崩れかけた研究所の壁により掛かり、目を閉じる。
回復には時間がかかるだろう。
もっと効率よく力を得るにはどうすればいい。
悩んでいると、ふと額の辺りに何かが触れる。
目を開ければヴァーチャーズ・コアが一体浮いていた。
「うん?どうした?」
ふ、と口元が緩む。
羽ばたきで微かな風が頬に当たった。
手を伸ばして光輪を撫でればくるりと回る。
まるでその仕草は意志があるようで、昔読んだ本にあった愛玩動物を思い出した。
再び手元にやってきたので同じように撫で、中心部の核に触れた。
自身の中にもあるのだと思いながら、ひんやりした表面を爪でなぞる。
手の上に姿を落ち着けたので、畳まれた翼に指を入れ梳いてやった。
しばらくすると、足下にもう一体やってきて爪先の辺りを漂う。
その核は濁った蒼だ。
理想とはほど遠い、出来損ないの。
じっと見下ろしていると、手元のそれが不満げに羽ばたいていった。
戯れに足を動かせばまとわりつく。
翼を爪先で撫でればぐるりと回る。
意志のあるような動きが滑稽だ。
足を動かし、核を踏みつける。
暴れる翼が音を立てる。
麾下である存在は攻撃などできはしない。
ジリ、と表面が削れ、硬い感触が伝わる。
妙な興奮を覚えながら力を込めれば、軽い音を立て核は砕け散った。
あっけない、酷く簡単に。
力なく光輪が床に落ちる。
「は、はは……」
砕けたそれを爪先でかき混ぜる。
濁ったそれは砂と混じり姿を消した。
望んでいるのはこんな物ではない。
「ルシフェル……」
いつぶりだろう、その名を口にしたのは。

忘れ去られたこの場所ですら、空は悲しいほどに蒼い。

text