人魚姫なベリサン/さるかになベリサン※暴力注意/赤ずきんなベリサングラ/お菓子の家なサンとグラとジタ
赤ずきんなベリサングラ
「やぁ赤ずきん、どこへ行くんだい?」
森の中、届いた声に振り返れば間近にその男は立っていた。
ぱちりと瞬きをして、グランは口を開く。
「おばあさんのお見舞いに行くんだ」
「そうかい、じゃあイイコトを教えてあげよう」
そして内緒話のように囁きが落ちる。
共犯者めいた微笑みを浮かべながら。
「さぁ、赤ずきん」
示す先は森の奥。
ふらりと足を踏み出しかけた、その直後。
「その臓物を今ここでぶちまてけやろうか」
苛立ちの混じる声が二人に届いた。
「硬くてイイモノを持っているみたいだが、オレはキミにぶち込みたいね」
男は背に押し当てられた銃口をちらりと見て、降参とばかりに両手を挙げる。
しかしそれが本気でないことなど分かり切っていた。
チッとサンダルフォンの舌打ちが響く。
「その前に息の根を止めてやる」
「フフ、それは楽しみだ、腹上死かな?」
二人が話す間にグランは移動し、サンダルフォンの左袖をきゅっと掴んだ。
背後に隠れるような位置になる。
「何もされてないか?」
「大丈夫だよ」
心配そうな声音に笑みを返すと、瞳が優しく緩む。
「オレだってそれなりの手順は守るぜ?」
「おい、気安く触るな……」
ぐっと右側から身を寄せられ、肘で押し返そうとするが少し遅かった。
肩を組むみたいに腕が絡む。
おや、と思った時には、両側から二人に密着されていた。
狙いを定めていた銃口は今や空に向けられている。
腕が掴まれていて動かせない。
何かがまずいとはわかるが、それが何か思い至らない。
そんなサンダルフォンに、グランがそっと囁く。
共犯者めいた微笑みを浮かべながら。
「さっきイイコト聞いたんだよ」
「そこに普段は使われていない小屋がある」
森の中を見回っているのでもちろん知っている。
猟に出た際に雨に降られたときなどに利用する場所で、こんな晴れた日は誰もいない。
「オレたちとイイコトしないか、猟師さん?」