人魚姫なベリサン/さるかになベリサン※暴力注意/赤ずきんなベリサングラ/お菓子の家なサンとグラとジタ
お菓子の家なサンとグラとジタ
二人の子供が森の中を歩いていた。
怖い魔女がいるので、森の奥まで入ってはいけないと言われている。
それでも、好奇心の強い二人は恐れることなく進んでいった。
昼間でも薄暗いその森を。
「あれ」
二人で顔を見合わせる。
「甘い匂いがする」
辺りを見回すが木々が生い茂っているだけだ。
「行ってみよう!」
きゅっと二人で手を繋ぎ、香りのする方へ向かっていく。
すると、開けた場所に家が建っていた。
しかもただの家ではない。
「お菓子でできた家だ……!」
壁はクッキーで扉がチョコレート。
窓にはステンドグラスのような飴がはまっている。
甘い香りは先ほどよりも強い。
すごいすごいと言いながら家を眺める。
あの屋根は何でできているのだろう。
「あ」
そっと、壁の模様に触れてみたら、飾り付けられたクッキーがはがれてしまう。
迷いは一瞬で、ぱくりと口に含んでいた。
「美味しい!」
「だめだよジータ、勝手に」
「だってはがれちゃったんだもん、しょうがないじゃない?ほらグランも」
そう言って残りを差し出せばおずおずと受け取る。
罪悪感に表情が曇るが、興味が勝った。
どんな味がするのだろう。
思い切って食べてみると、さくさくとしてバターの香りがふんわり広がる。
言葉にならないほど美味しかった。
だめだと思いつつも、目の前の誘惑にふらふらと手を伸ばしそうになる。
「甘い物の後に珈琲はいかがかな?」
突然背後から響いた声に、二人はびくりと肩を震わせた。
振り返れば青年が立って、こちらを眺めている。
「ご、ごめんなさい、美味しそうで」
二人の震える声に、ほんの少し首を傾げる。
「うん?すぐに直せるから問題ないさ」
構わないと告げられ、ほっとする。
「中に友人が作ったおはぎもある、よければ珈琲もご馳走しよう」
「珈琲って苦いんでしょう?」
「僕らには無理だよ」
「……わかった、ミルクと砂糖も用意しよう」
中へと促され、色とりどりのお菓子と共に、ミルクたっぷりの珈琲もいただいた。
あれやこれやと話をして、はたと気づく。
知らない人についていってよかったのか、と。
「そ、そろそろ帰らないと、暗くなっちゃう」
ようやく働き出した危機感にそう口にすれば、そうだな、と小さな声が返された。
森の出口まで送ろう、と青年が立ち上がる。
お土産にとクッキーの包みをいくつかもらった。
何も危ないことなどなく、森の出口まで連れてきてくれて。
「……たまに来て、俺の話し相手になってくれないか」
寂しそうな表情をするものだから。
青年の手を、二人できゅっと掴んだ。
「もちろん!」
「また来るわ!」