01/02/03/04/05/06

狼と梟 03

「サンダルフォンって飛べるの?」
それは、ほんの些細な疑問だった。
首を傾げて視線を向ければ、ハァ、と呆れたような溜息と共に背中にのしかかられる。
「え、待って重い重い」
「俺の体重がどれだけあると思う?」
ぐりぐりと肩に乗せた顎を動かす。
「翼だって軽くない。更に飛ぶために羽ばたく筋力がどれだけ必要だと思う?少し考えてみろ」
想像力がない、と詰るようでもあった。
もしかすると触れてはいけない事柄だったのかもしれない。
「……ごめんなさい」
随分と気落ちした声が漏れた。
ぽんぽん、と宥めるように頭を撫でられる。
「わかればいい」
満足げに笑って背中の重みは消えた。
そして思い出したように口を開く。
「ルシフェルは飛べるぞ」
「え、本当に?」
「そうだ、とても美しいシロフクロウなんだ、あの方は」
うっとりと語るその声は、まるで恋する乙女のようで。
「へぇぇ」
そんな冷めた相づちにも気付かない。

/
text