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狼と梟 04

子供の頃は両親に毛繕いをしてもらっていた。
けれど、人の感情が強く、甘えているように思ってからは機会が減っていって。
誰かの前で狼の姿になるのは、サンダルフォンが久しぶりのことだった。
触れる掌はとても優しく温かい。
いつも美しいが、この時はとてもかわいらしく笑ってくれる。
「グラン」
呼ぶ声も、愛しさを隠すことがない。
だから、本当は嫌ではなかった。
狼の姿を見せることも、触れられることも。
ブラッシングも繰り返すうちに上手になったと思う。
ぺろりと頬を舐めれば、くすぐったそうに笑う声が聞こえた。
本当はもっと、全身を舐めてしまいたいほどで。
噛みつきたい衝動をぐっと堪える。
本能に流されてしまいそうになるのが怖い。
じゃれるような仕草でも、怪我などさせてしまったら。
綺麗な肌に、傷跡など残したくはない。
想像だけでしゅん、とうなだれてしまう。
「グラン?嫌だったか?」
問う声が寂しそうで、そんなことはないと伝えるために鼻先を胸元に埋めた。
背中を撫で、きゅっと抱きしめられる。
それだけで満たされ、甘えた声が漏れた。

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